
労働基準法と教員の働き方について考えて見ました。
今回の記事を読むと以下のことが分かります。
教員がいかに過酷な労働環境で働いているのか
教員に適用されている労働に関する法律が時代に合ってないこと
なぜブラックな勤務体系となってしまったのか
以上の3つです。
対象となるのは
教員がなぜ「ブラック」と言われるか良く分かっていない人
教員を目指している人・採用試験に合格した人
教員で働いているが、自分の働き方に疑問を抱いている人
教員から転職するべきか悩んでいる人
だと思っています。
特に一番上の「なぜブラックと言われるのか良く分からない。だって夏休みとかあるしノルマないし、暇そうじゃん」て考えてる人には是非読んで欲しい。
さっそく本題に入ります。
(労働基準法の注目すべき項目のピックアップしています。)
目次
労働時間の原則×教員
労働時間の原則
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
※ このほかに、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制等があります。
さっそく労働時間の原則は守れていませんね(笑)
休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
全然超えてると思います。
以下のよう先生は労働時間の原則に違反しています。
朝練して早めに出勤して定時まで働いた先生。
授業後の部活動で頑張っている先生。
教材研究をして、夜遅くまで残っている先生。
休憩×教員
休憩
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
休憩時間は、一斉に与えなければならない。
使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない
※作業と作業の間の待機時間である「手待ち時間」(使用者の指示があれば、すぐに業務に従事しなければならず、労働から解放されていない時間)は、労働時間の一部であって、休憩時間ではありません。
休憩に関しても守られていません。
教員は給食の時休憩しているのでは?
空き時間に休憩しているでしょ?
これが世間の味方ですが現実は以下の通り。
小学校の低学年の先生においては、給食指導もあるので気が休まらない。
時間がなさ過ぎて給食の時間に答案用紙の確認。
教科会や会議が結構入ってくるのが現状。
つまり
労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
という文面は、全く守られていない。
さらに
※作業と作業の間の待機時間である「手待ち時間」(使用者の指示があれば、すぐに業務に従事しなければならず、労働から解放されていない時間)は、労働時間の一部であって、休憩時間ではありません。
とあるが、教員は休みがなく「手待ち時間」が退社時間まで続くため、労働から解放されている時間は存在しない。
休日×教員
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
※ 4週間を通じ4日以上の休日を与えることでも可
休日の項目も守られていません。
以下のような理由からです。
部活動の顧問の先生は休日がない。
学校祭で忙しいシーズンになれば、問答無用で担当の教員たちは駆り出される。
(なぜか学校内での活動は生徒が自発的に活動するものであっても、担任が付くという謎な制度が存在する学校がほとんど)
時間外および休日の労働×教員
使用者は、労使協定(いわゆる36協定)を締結し、これを行政官庁(労働基準監督署)に届け出た場合においては、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
※ この協定の締結・届出なしに法定時間外労働や休日労働をさせることはできません。
※ 時間外労働(休日労働を含まない)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできません(中小企業は2020年4月から適用)。
※ 臨時的な特別の事情がある場合でも、
・時間外労働…年720時間以内
・時間外労働+休日労働…月100時間未満、2~6か月平均80時間以内
としなければなりません(中小企業は2020年4月から適用)。
教員はこの項目から適用外です。
致命的なのはここです。
2017年3月に「働き方改革実行計画」という改正のアウトラインが出ました。
簡潔に説明すると、長時間労働に対して罰則を科すというものです。
現在、大手企業ではこれらをかなり厳しく守っているところも多く、早く帰ってくれと指示がでているようです。
しかしながら、長時間労働が常習化し、働かせ放題になっている「教員」がなぜかこの規制から適用外という驚くべき事実があります。
これは、今は世間をに騒がせている「給特法(教員給与特別措置法)」が原因です。
給特法とは?
要因の勤務体系の特殊性を踏まえて、残業代を支給しない代わりに、給料の月額4%(これを教員調整額)を支給することを定めた法律です。
この4%が多いか少ないか、教員は辞めた26歳当時の私の給与額でシミュレーションしてみましょう!!
- 当時の月額給与23万
- 4%は9200円
- 月の時間外勤務時間数は余裕で100時間越え(めんどくさいので100時間で計算します)
出ました!!私の残業時間は、時給換算すると92円です!!
やりました!!92円も1時間あたり残業代が出てます!!
・・・
絶望。
ここで疑問が浮かびます。
そもそも4%の根拠は!?
教職調整額4%の根拠がふざけてる
この4%という数字は、文部科学省が昭和41年の勤務状況の調査を踏まえて決定したものです。当時の月の平均残業時間は8時間です。

以下は文部科学省の資料のリンクです。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/031/siryo/07012219/007.htm#a01
「昭和41年の働き方」とは大きく変わっているのが分かるのが以下の資料。


以下は詳細の資料リンクです。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/09/__icsFiles/afieldfile/2018/09/27/1409224_004_2.pdf
26歳の私の場合でいうのであれば、調査をした「昭和41年」よりも残業時間が12倍になっているのに据え置き・・・
むしろ、年々給与は減少傾向にあるので
「労働時間(残業時間)は12倍」で「賃金はひたすら減少傾向」
という最悪の状態なのです。
まとめ:古い制度を変えなければ「教員」は救われない
ブラックな勤務体系の根本的な理由は3つ。
- 教員は「働き方改革」の適用外
- 未だに残る「給特法」
- 昭和をベースにした「教員」に対する法律
上記の3つを個人レベルで変えることができるのか、私には分かりません。
今回のブログを書くにあたって「なぜブラックと言われるのか」の理由が、自分でも深く理解できました。
同時に「なんて理不尽な世界なんだ」とも思いました。
この記事を読んだ人で「それでも私は教壇に立ちたい」とおもった人がいたら、以下の記事を読んでください。
逆に
こんな理不尽な世界で働くのはもう無理・・・
ただ教員から転職なんてできるのかな?
と不安に思っている人は以下の記事を参考にしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。